雑語

作画演出メモ

話数単位で選ぶ、2017年TVアニメ10選

 ブログを新設してからは初となりますが、今年も新米小僧の見習日記さんの10選企画に参加させていただきました。

ルール

・2017年1月1日~12月31日までに放送されたTVアニメ(再放送を除く)から選定。

・1作品につき上限1話。

・順位は付けない。

 

小林さんちのメイドラゴン』第6話「お宅訪問!(してないお宅もあります)」

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脚本:山田由香/絵コンテ・演出:三好一郎/作画監督:丸子達就

 カンナちゃんの一挙手一投足がかわいい。もちろんただそれだけには留まらず、表情に自然と目が行くフレーミングとPANワーク、それにモチーフや境界表現が随所に散りばめられる徹底した画面作りで、あらゆるカットに手抜かりがなくまったく隙を見せない。やはり三好さんのコンテ演出は一線を画するものがあるな、とつくづく感じさせる。

 

この素晴らしい世界に祝福を!2』第6話「この煩わしい外界にさよならを!」

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 脚本:中村浩二郎/絵コンテ・演出・総作画監督:江畑康之

  矢を射るカズマのアクションや駄々をこねるアクアの漫画的な動きなど、とにかくキャラクターが快活な「このすば」らしさが全面に出た話数。動きの自由度の高さはこのキャラデザならでは。毎期数多くのライトノベル原作アニメが制作される昨今においても、このオールドでギャグとしてこれ以上ない顔/身体の表情付けを見られるのはこの作品をおいて他にないだろう。

 

月がきれい』第3話「月に吠える」

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絵コンテ:平峯義大、岩崎光洋/演出:平峯義大/総作画監督新田靖成

 ロング/アップショットの連鎖。揺れる安曇と水野の心のうちを、fixのカット繋ぎで客観性を保持しつつえがき出す。一転、風が吹くとともに安曇のPOV。覚悟を決める。呼応し月を見上げる水野のPOV。告白。──全編を通して「演出アニメ」というべき叙情的な作品であったように思うが、そのなかでもカメラワークと荒木涼さんによる作画、それに脚本と、それぞれの意図がピタリと合致したワンシーンだった。

 

エロマンガ先生』第8話「夢見る紗霧と夏花火」

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脚本:伏見つかさ/絵コンテ・演出:若林信/作画監督:小林麻衣子

 『エロマンガ先生』は粒ぞろいで選出は迷いどころだったが、そんな中でもやはり若林さんコンテ演出のこの話数は頭一つ抜けていたように思う。制作進行の梅原さんの手腕というかコネクションはさすがの一言。小林さんによる全セルの電車内カットや料理カット、モブシーンなどが大いに話題になったことは記憶に新しい。もちろんそれ以外の部分でも芝居の巧さが際立っていて、とにかくアベレージが圧倒的に高かった。

 

冴えない彼女の育てかた♭』第10話「そして竜虎は神に挑まん」

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絵コンテ:亀井幹太/演出:大橋一輝/作画監督:ini、吉田優子、石田一

 部室シーンの英梨々と詩羽先輩の表情芝居、拳を付き合わせるシーン、冒頭の川辺シーン。キャラクターの感情が揺れ、動き、ときに爆発し、そして決意を固めるさまをまざまざと見せつけられる。そのすべてが静かに、画面から滲み出るようにわれわれに流れ込む。感傷的でありながら、背中をぐっと押されるようなフィルムだ。これをひとつの話数としてまとめあげたシリーズ構成も見事。

 

リトルウィッチアカデミア』第25話「言の葉の樹」

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脚本:大塚雅彦/絵コンテ:吉成曜今石洋之/演出:宮島善博/作画監督:半田修平、石毛理恵、斉藤健吾、長谷川哲也、五十嵐海、米山舞

 ここに至るまでの脚本は個人的に今一歩響かなかったのだけれど、最終話はそれを覆すだけのパワーに満ち満ちていて、たまらず泣かされてしまった。ラストシークエンス、各シーンで担当アニメーターによってアッコとダイアナの顔の造形に差があるわけだが、それは逆説的に各アニメーターの個性がそのまま反映されていることの証左といえる。もともと新人育成を目的とする「アニメミライ」で発表された本作。新人アニメーターのみならず、観る者すべてに「信じる心があなたの魔法」だと……陳腐ではあるが、確かな説得力をもってそう訴えかけてくるような話数だった。

 

 『プリンセス・プリンシパル』第5話「case7 Bullet & Blade's Ballad」

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脚本:大河内一楼/絵コンテ・作画監督江畑諒真/演出:間島崇寛

 チセ回。冒頭数分でそれとわかる江畑さん作画。ふとした動作にもその重心を感じさせられる。黒星紅白さん原案のキャラクターにこの写実的な動きというのが組み合わせの妙で、近年のアニメに要求される商業性を担保しながら作画的な見所もある好例であったように思う。横スクロール的なアクションシーンも斬新かつ巧かった。

 

少女終末旅行』第5話「住居/昼寝/雨音」

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絵コンテ・演出:尾崎隆晴/作画監督:中山みゆき

 被写界深度から画角からカメラワークから、どれを取っても巧みな画作りで、それでいて過剰さはまったく感じさせない演出。視覚的には波紋や雨粒のイメージ、そして聴覚的には特殊EDへと繋がれていく。「音」をフィーチャーしたこのエピソードは、まさしくアニメーションという映像媒体でえがく意義のあるものであって、そこにひとつの山場を設定しリソースを割いてきた尾崎監督の慧眼には脱帽するほかない。

 

ボールルームへようこそ』第21話「扉(ドア)」

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絵コンテ・演出:中澤慎太郎/総作画監督千葉崇洋

  橋本晋治さんパートが圧巻。汗の飛び散り、衣装の靡き。限られた舞台道具のなかで、ここまでバチリと画になるシーンがえがけるものかと唸る。釘宮視点で暗闇のなかから多々良ペアが迫ってくるシーンも、その圧倒的な“異物感”にぞわりと背中から鳥肌が立っていくような感覚があった。原画に米林さんがクレジットされていたのにも驚き。

 

Fate/Apocrypha』第22話「再会と別離」

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脚本:三輪清宗/絵コンテ・演出:伍柏輸/作画監督:伍柏輸、浜友里恵、りお

 作画でいえば今年ナンバーワンどころかここ数年来でナンバーワン。どのシーンを取っても凄い、それ以外に形容のしようがない。でも「人手が足りてない」だとか「作画崩壊」だとか、心無い発言が散見されたのは個人的に本当に残念だった……。

 

 

 7作品目くらいまでは比較的すんなり決まったのですが、残りの取捨選択で非常に悩まされました。『ACCA13区監察課』や『メイドインアビス』、『ゲーマーズ!』、『Just Because!』などなど、選ばなかったけれど好きな作品/話数は挙げればキリがありません。それほどに充実した1年間でした。来年もアニメーションとの素晴らしい出会いがあることを祈って。